スライディング考
「スライディング多い奴には出来るだけ意表をつく方向転換でレッド食らわせたくなる。 本来の楽しみである点を入れる事よりも相手にレッド食らわせることに集中してしまうことが俺にはある。」

先日出くわしたどこかのブログかなにかでこんなことを言っている人がいた。
要するに、「スライディングを頻繁に行うことは礼節をわきまえない下品なプレーで腹が立つ。ついては、プレーはそっちのけにしてでもとっちめてやりたくなる」と、こういうことのようだ。これには、「お前はアホか」と横山ホットブラザーズの皆様にノコギリを叩いて諭してもらいたくなってしまう。大きな勘違いをしている。スライディングが、正当にして有効かつ高度な守備手段であることを全く分かっていない。

スライディングは体を投げうって相手を止めに行くプレイだ。だから、スピードに乗った相手からでもボールを奪い取ることができる反面で、決められなかった時には逆に置き去りにされ、一気に持っていかれてしまうというリスクを伴う。一瞬の勝負だ。それ故、少しでもその成功の確率を上げるためには、先を読み、相手の動きや出方を予測する能力が絶対に欠かせない。
「ここはトラップしてくるだろう」、「右に大きく出してドリブルするだろう」、「左に切り替えしてくるだろう」、「一瞬ルックアップするだろう」、「パスコースが1つになった。プレッシャーがかかればきっとそこに出すだろう」などということを予想し、ここぞというタイミングで相手より一歩先に仕掛ける。金魚をすくう時のように、あるいは女性のハンドバックをひったくる時のように、ここしかないというタイミングでボールを奪取するのである。スライディングとは、このようにアグレッシブである一方で、実にインテリジェントなプレーなのである。だからこそ、マリオ・ジェペスやリカルド・カルバーリョの正確な読みからのスライディングは美しいのだ。
金魚すくいとひったくりが本当にアグレッシブかつインテリジェントであるかどうかという点についてはここではさておく。が、恐らくそう言ってしまって間違いないはずである。ただし、後者については、アグレッシブかつインテリジェントではあるがイリーガルでもある。また、金魚すくいについては、あまりアグレシッブにやると金魚に逃げられるし、おじさんに怒られそうである。

もちろん端からボールではなく足を狙いに行くような危険なプレーは糾弾すべきものだ。でもそのことと、スライディングそのものを否定することは別次元の話しである。正当なチャージとしてトライするスライディングなら、その頻度など問題にすべきではない。どうも最近スライディングでの守備を「スラ厨」などという蔑称で括り、奨励されざるべきものとして扱うような風潮がある。フットサル大流行の余波だろうか。心から異を唱えたい。完璧なスライディング、超イカす。

テレビゲームの話しである。
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by sporting_emoto | 2006-04-24 17:31 | Football
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