意味などない
なんとあのコロンビアのGK、イギータが現役に復帰しているらしい。いや、引退したことも知らなかったから復帰もなにもないのだが、ともかくいまだ現役であることに驚いた。イギータは80年代のトヨタ杯や90年イタリアW杯の時に見ていたから、昔のプレーヤーという印象があり勝手に引退しているものと思っていたのだが、まだ42歳だったのだ。現在、自国コロンビア1部リーグのデポルティボ・ペレイラというチームでプレイしているのだという。

レネ・イギータ。ホオジロの巣のカッコウのように、自分をフィールドプレーヤーだと勘違いしているGK。「攻めあがるGK」であり、「持ち過ぎるGK」である。自陣ゴール付近でフェイクを入れたり、ドリブルすることなど日常茶飯事。興に乗るとそのまま持ち上がってクロスを上げてしまったりもする。ピッチ上でただならぬ妖気を放つその姿は、異端のGKというより異形のモノだ。中でもとりわけ強烈なプレイは、やはりイングランド代表との親善試合で見せた「スコーピオンキック」だろう。聖地ウェンブリースタジアムの厳かな雰囲気にも臆することなく、いつも通りやたらと前に出てくるイギータを見て、イングランドの選手が大きなループシュートを狙う。蹴った選手の意に反し、ボールはイギータの丁度頭上辺りに落ちてくるのだが、この山なりの本来なら両手でキャッチするのにおあつらえ向きのボールを、イギータはまさしくサソリのように、両手を広げ反り返ってジャンプすると、揃えた両足のかかとで弾き返してしまうのだ。軽々とキャッチできて、パンチングですら馬鹿かと怒られそうなボールをである。最高としか言いようがない。

サッカーに限らず、意図の感じられないプレイというものは奨励されざるものだ。が、スコーピオンキックには本当に一切の意味が無い。これに勝る無意味なプレイというものを私は見たことがない。イギータはフィールドプレーヤーのような動きを求められる現代的なGKのはしりなどと言われることもあるが、そういうことではない気がする。
イタリアW杯のカメルーン戦にて、ロジェ・ミラにかっさらわれて失点するという大失態を犯しておきながら「今後もスタイルを変えるつもりはない」と言い切ったこのGKは、きっと今でも攻撃的で、奇想天外で、意味などなくとも魅力溢れるプレイの数々を披露し、観客を沸かせていることだろう。

◆スコーピオンキック

◆イギータ・プレイ集(含 大失態、スコーピオンキック)
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by sporting_emoto | 2009-03-26 00:39 | Football
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